氷室椿庭園 ~深き静寂の中で咲く椿たち~

氷室椿庭園――その静寂の奥には、三井不動産の元副社長であった氷室捷爾氏と花子夫人が長い年月をかけて育んだ「美の信念」が、今もなお脈打っています。


ご夫妻がこの地に邸宅を構えたのは昭和の盛り、昭和10年に建てられた主屋は、今では国登録有形文化財として往時の姿をとどめています。

エレガント・シャンペン

数寄屋

捷爾氏は数々の椿を愛好し、収集するだけでなく、自らも品種を作出した稀有な人物でした。庭を歩くと、丁寧に配置された通路、互いの花姿を引き立て合う木々の高さ、松がつくる柔らかな陰。
それらは、椿をより美しく見せるために積み重ねられた“細やかな工夫”であり、かつてこの庭を歩いた氷室氏が、一本一本の椿を「友のように」見つめ大切に育てていた痕跡でもあります。

白頭山

迦陵頻


この庭が茅ヶ崎市に寄贈され、1991年に開園したのちは、
ご夫妻が守り続けた美の精神を受け継ぐように、行政や市民ボランティアの手で大切に手入れが続けられてきました。
それはまるで、氷室家の想いが時代を越えて庭を見守り、訪れる人々へ静かな感動を授け続けているかのようです。 

太郎庵

そして今、椿の開花が進む季節を迎え、この庭は一層の荘厳さをまといます。
凛とした冬の気配の中、ひとつ、またひとつと花を開く椿は、
氷室家が残した美の遺産にひそやかに呼応するかのように、深い気配を漂わせます。

マソティアナ・ルブラ

京唐子

どうぞ、歴史と花が重奏するこの庭で、かつてこの地を愛した人々の息遣いと、椿が持つ気高い輝きをお感じください。

氷室椿庭園の庭園について|茅ヶ崎市

             副会長 金子 雄(令和8年2月24日)